「何回も怒られたのにまた同じことをしている……」
「同じこと何度も言わせないで!」
子供の問題行動が繰り返されるたびに、心の中でため息をついてしまうことはありませんか?毎回注意している、何度も叱っているはずなのに、どうして同じことが続くのだろうと悩んでしまう。
「もしかして、私の叱り方が間違っているの?」
「それとも、この子がわざとやっているの?」
そんな風に考えたことがある方も少なくないと思います。でも実は、そこには「愛情不足」という無意識の原因が隠れていることがあるのです。
現代の母親は、家庭だけでなく仕事や家事、育児に追われ、非常に忙しい毎日を過ごしています。その中で充分な子供と向き合う時間を取るのは簡単ではありません。しかし、子供の目線から見ると「自分に十分な時間を割いてくれていない」と感じることがあります。このギャップが愛情不足を生む原因となるのです。
この記事では、子供が叱られる行動を繰り返してしまう本当の理由と、愛情不足を感じさせないための解決策について考えていきます。
繰り返される問題行動の原因は「愛情不足」かもしれない
子供が叱られる行動を繰り返す原因には、「愛情不足」が関係している可能性があります。
特に「わざとやっているように感じる」「できることなのにやらない」ような場合は注意が必要です。
幼少期に十分な愛情を感じられなかった子供は不安を抱えやすく、その不安から無意識に叱られる行動を取ることがあります。叱られることで「注目されている」「自分がここにいていい」と安心を得ようとしているのです。
子供自身はそんなつもりは全くなく、むしろ叱られたくなんかないんだけど、不安を感じて無意識に叱られる行動をしてしまうんです。
母親は悪くない、愛情が十分に伝わりにくい現代の生活環境

しかし、これは母親が「愛情を注がなかった」というわけではありません。むしろ、多くの母親は毎日の生活の中で精一杯の愛情を注いでいます。
ただ、現代の生活環境での子育てはあまりに大変すぎて余裕が持てないんです。
家事や仕事や送り迎えと、忙しさやストレス、日々の生活に追われる中で、時間も足りないし気持ちもあちこちに散漫しやすい、そんな状況で子供にその愛情が十分に「伝わらない」場合もあるのです。
たとえば、こんな状況を思い浮かべてみてください:
- 仕事と家事に追われ、夜はクタクタで子供と向き合う余裕がない
「今は疲れていて話を聞けない」という日が続くと、子供は「お母さんは自分に興味がないのかな」と誤解してしまうことがあります。 - 身体が疲れて抱っこができない
子供に抱っこしてと頼まれても、腰が痛かったり疲れすぎていて抱っこができないこともあります。特にある程度大きくなると抱っこもしんどくなります。 - 兄弟が多いと、どうしても小さい子に時間を割いてしまう
兄弟姉妹の世話をしている間、子供は「自分は見てもらえない」と無意識に不公平感を感じていることもあります。 - 気持ちの余裕がなく、イライラや叱ることが増えてしまうとき
本当は愛情から叱っているのに、子供には「また怒られた」という印象ばかりが残り、愛情を感じ取りにくくなることがあります。 - 子供とゆっくり向き合える時間の余裕がない
これは今多くの家庭で起こっている問題で、今は親子だけで子育てをしている家庭がほとんど。おじいちゃんおばあちゃんと3世代で家事や育児を分担したり、ご近所づきあいで助け合っていた昔と違って、家事・仕事・育児で時間が足りません。さらに今はスマホもあるので気づかないうちに何時間も時間を使っています。
こうした状況は、どの家庭でも起こり得ることです。母親が手を抜いているわけでも、愛情を注いでいないわけでもありません。むしろ、「自分なりに一生懸命やっているからこそ」起きてしまうことなのです。
大切なのは、「これまでのことを責めない」こと。過去を悔やむのではなく、「今から」の行動に目を向けることで、子供にしっかりと愛情を伝えていくことができます。
解消されない愛情不足が子供に与える3つの影響

幼少期に愛情不足を感じると、子供はどのような影響を受けるのでしょうか?
不安を感じやすい心
愛情が十分に感じられなかった子供は、「自分は大切にされていないかもしれない」という不安を抱えます。この不安が解消されないと、安心感を求めて親の注意を引こうとする行動に繋がります。それが、同じことで何度も注意されたり、叱られるような行動として現れるのです。
叱られることで親の注目を得る仕組み
子供は、叱られることさえも「親からの関心」として受け取ります。叱られることで「自分を見てくれている」と感じるため、わざと問題行動を起こしてしまうこともあります。この行動は無意識であり、決して子供が悪意を持っているわけではありません。
大人になって良い人間関係を築きにくくなる
愛情不足のまま育った子供が大人になると、自己肯定感が低く、自信がない、依存体質、人を信用できない、愛情表現がうまくできないなど、人間関係を築きにくくなります。
ひどい場合には職場の人やまわりの人の注意を引こうと問題行動や問題発言を繰り返してまわりを困らせる人になることも。
忙しい日々でもできる!短時間でも愛情を伝える3つの方法

愛情不足を解消するために、忙しい日々の中でも取り入れられる小さな行動を紹介します。
1. 毎日1分、「目を見て話す」時間を作る
子供と向き合い、目を見て話すことは、短時間でも愛情が伝わる大切なコミュニケーションです。具体的には「今日はどんなことがあった?」と問いかけるだけで十分です。
2. スキンシップを増やす
忙しい時でも、1日に1回ハグをする、頭を撫でるなどのスキンシップを心がけましょう。身体的な触れ合いは、子供に安心感を与えます。
3. 叱る言葉を「共感の言葉」に変える
例えば、子供が物を散らかした時、つい「なんで片付けないの!」と言いたくなる場面でも、「散らかっていると片付けるのが大変だよね」と共感することで、子供の行動を変えるきっかけを作れます。
また、褒めるコミュニケーションを取り入れることも非常に効果的です。
愛情不足が原因で問題行動が繰り返されると聞くと、不安になる母親もいるかもしれません。しかし、子供は親の愛情を本能的に感じ取る存在です。どんなに忙しくても、「今から」の行動で親子関係を改善することができます。
今日から、たった1分でも子供と向き合う時間を作ってみてください。小さな一歩が、子供の心に大きな変化をもたらします。そして何より、親子関係がより良いものになり、子供が健やかに成長するための土台を築くことができるのです。