「テストどうだった?」「試合に勝った?」「〇〇できた?」
こんな声かけは皆さんよくしていると思いますが、お子さんに「今日、どんな気持ちだった?」と聞いたことってありますか?
多くの親は、子どもに「何をしたか」「どんな結果を出したか」は気になるので質問します。けれど、実は子どもの非認知能力を高めるために大切なのは、結果よりも「何を感じたか」なのです。
最新の研究では、「非認知能力」(=数値化できないスキルや心の強さ)が、学力やスポーツのパフォーマンス、さらには将来の成功にも大きく影響することが分かっています。
「でも、非認知能力ってどうやって育てればいいの?」
その答えは、とてもシンプルです。子どもが自分の感情に気づき、言葉にする習慣を作ること。
この記事では、
✅ 「ご機嫌」が子どもの学びや成長に与える影響
✅ 親ができる「感情マネジメント」の具体的な方法
✅ 「結果」ではなく「心の状態」に目を向ける声かけのコツ
を分かりやすく解説します。
「勝った?負けた?」「できた?できなかった?」ではなく、「どんな気持ちだった?」と聞くことが、勝っても負けても、できてもできてなくても、子どもの未来を変えます。
さっそく、その方法を見ていきましょう!
子どもの「非認知能力」の重要性
「非認知能力」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、IQのようにテストで測れる能力(認知能力)とは異なり、感情のコントロール力・やる気・集中力・粘り強さ・自己肯定感など、目に見えないスキルを指します。
実は、学力やスポーツの成果を大きく左右するのは、知識や技術だけではなく、この「非認知能力」なのです。
非認知能力が子どもの未来を決める
研究によると、子ども時代に非認知能力が高い子は、大人になってからの成功率も高いことが分かっています。
例えば、スタンフォード大学の「マシュマロ実験」では、感情をコントロールし、目の前の誘惑に打ち勝った子どもほど、将来の学力や収入が高かったという結果が出ています。
また、ハーバード大学の調査では、子どもの頃に「やる気」や「レジリエンス(困難を乗り越える力)」が高かった人は、大人になっても社会的成功を収めやすいことが明らかになりました。
つまり、「テストの点数」や「スポーツの成績」よりも、「どんな気持ちで努力したか」「結果にどう向き合ったか」が、その後の人生に大きな影響を与えるのです。
「ご機嫌な子ほど成長が早い」— 心の状態が学びや運動に与える影響
では、非認知能力を育てるにはどうすればよいのでしょうか?
実は、とてもシンプルなことが大切です。子どもの「ご機嫌」を保つことです。
✅ ご機嫌な状態の子ども
- 脳がリラックスし、記憶力・思考力が高まる
- 挑戦する意欲が湧き、失敗してもめげにくい
- 他人とのコミュニケーションが円滑になる
✅ 不機嫌な状態の子ども
- 脳がストレスを感じ、学習効率が下がる
- 小さなミスで落ち込み、挑戦を避ける
- 親や友達との関係が悪くなりやすい
実際に、「感情が安定している子ほど学力が高い」という研究結果もあります。
つまり、親ができる最も大切なことは、子どもを「ご機嫌な状態」に導くことなのです。
では、どうすれば子どもの非認知能力を育て、ご機嫌な状態を保てるのでしょうか?
次の章で、その具体的な方法を紹介します。
「ご機嫌」が学びやスポーツに与える影響

子どもの学びやスポーツの成果を決めるのは、努力や才能だけではなく「心の状態」です。
同じ勉強をしても、同じ練習をしても、「ご機嫌なとき」と「不機嫌なとき」では結果が大きく変わることが分かっています。
ご機嫌な子どもは、なぜ成長が早いの?
脳科学や心理学の研究によると、ポジティブな感情を持っていると脳の働きが活性化し、以下のようなメリットが得られます。
✅ 記憶力・集中力が向上する
→ ご機嫌なとき、脳の「前頭前野」が活性化し、学習したことが定着しやすくなる。
✅ 挑戦する意欲が湧く
→ 不機嫌なときは「失敗したらどうしよう」と考えがちだが、ご機嫌なときは「やってみよう!」と思える。
✅ ストレスに強くなる
→ 失敗や挫折があっても、「まあ、次がある!」と気持ちを切り替えられる。
✅ 対人関係が良くなる
→ 友達や先生と良いコミュニケーションがとれ、学びの環境が良くなる。
このように、「ご機嫌でいること」は、学びや成長を加速させるスイッチなのです。
逆に、不機嫌な状態だとどうなるのか?
一方、不機嫌な状態が続くと、子どもの脳はストレス状態になり、以下のような悪影響が出ます。
❌ 思考力・記憶力が低下する
→ イライラすると、脳の「扁桃体」が活性化し、感情に支配されて冷静な判断ができなくなる。
❌ 挑戦する意欲がなくなる
→ 「どうせ無理」「また失敗するかも…」と考え、挑戦を避けるようになる。
❌ 些細なことで落ち込みやすくなる
→ 小さなミスで必要以上に自信をなくし、「もうやりたくない」と思うことが増える。
❌ 人間関係が悪くなる
→ イライラが周囲にも伝わり、親や友達との関係がギクシャクする。
「ご機嫌」と「不機嫌」では、子どもの成長スピードに大きな差が生まれるのです。
親の影響は絶大!「ご機嫌」は家庭から始まる
子どもは、親の感情に大きな影響を受けることが分かっています。
例えば、親がいつもイライラしていると、子どもも不機嫌になりやすくなります。
しかし、逆に親が自分の機嫌を整えていると、子どもも自然とご機嫌になるのです。
では、どうすれば子どものご機嫌を保ち、成長を加速させられるのでしょうか?
次の章で、親ができる「感情マネジメント」の具体的な方法を紹介します。
親ができる「感情マネジメント」の具体的な方法
子どもがご機嫌でいることが、学びや成長に大きな影響を与えることは分かりました。
しかし、子ども自身が感情をコントロールするのは難しいもの。そこで大切なのが、親が日々の声かけを意識したり、親自身が「感情マネジメント」の習慣を身につけることです。
ここでは、今日から実践できる3つの具体的な方法を紹介します。
① 「今日、どんな気持ちだった?」と聞く習慣をつける
多くの親は、つい子どもに「今日、何したの?」「テストの点は?」と結果や行動を聞いてしまいがちです。
しかし、子どもの非認知能力を育てるためには、「何を感じたか」に意識を向けることが大切です。
✅ NGな質問
- 「今日のテスト、何点だった?」
- 「試合、勝った?」
- 「宿題、全部終わった?」
✅ OKな質問
- 「今日、どんな気持ちだった?」
- 「テストのとき、どんな気持ちで問題を解いた?」
- 「試合で、一番楽しかった瞬間は?」
- 「今日はどんなことにワクワクした?」
→ こうした質問をすることで、子どもは自分の気持ちを言語化しやすくなり、感情のコントロール力が自然と身につくのです。
② 感情リストを活用し、子どもが感情を言葉にできるようにする
「どんな気持ちだった?」と聞いても、子どもが「別に…」と答えることはよくあります。
なぜなら、自分の感情を表現する言葉を知らないだけだからです。
そこで活用したいのが、「感情リスト」です。
例えば、以下のようなリストを子どもと一緒に作ってみましょう。
✅ ポジティブな感情
- 嬉しい / 楽しい / ワクワクする / 充実している / 誇らしい / 落ち着いている
✅ ネガティブな感情
- イライラする / 悔しい / もやもやする / 緊張する / 不安 / 落ち込む
→ こうした言葉を日常的に使うことで、子どもは自分の気持ちを正しく認識し、適切に表現できるようになるのです。
③ 親自身が「ご機嫌」でいることが最優先
子どもは、親の感情に敏感です。
親がストレスを溜め込み、イライラしていると、子どもも無意識にその感情を引き継いでしまいます。
✅ 子どもに良い影響を与えるために、まずは親が自分の機嫌を整える
- 「疲れた」「イライラする」と感じたら、まずは深呼吸
- 無理にポジティブになろうとせず、今の気持ちを認める(「今ちょっと疲れてるな」など)
- 好きな音楽を聴く、軽い運動をするなど、自分をリセットする習慣を持つ
→ 親が「自分の感情を整える」ことを意識するだけで、家庭の雰囲気が変わり、子どもも自然と落ち着いて過ごせるようになります。
この3つの方法を実践することで、子どもは感情を上手に扱えるようになり、より安定した気持ちで学びやスポーツに取り組めるようになります。
実践例:「ご機嫌トレーニング」を家庭に取り入れた親の変化
「プロセスを大切にする声かけが重要」と言われても、実際にどう変化するのか?と疑問に思う方もいるかもしれません。
ここでは、「ご機嫌トレーニング」を取り入れた家庭の実例を紹介します。
📌 ケース1:テストの点数ばかり気にしていた親が、感情を聞くようになった結果…
🔻 Before
- 毎回、「今日のテスト、何点だった?」と結果ばかり聞いていた。
- 80点以上なら「すごいね!」、70点以下なら「もっと頑張らないと」と言ってしまう。
- 子どもはテストの点数にプレッシャーを感じ、点数が悪いとすぐ落ち込む。
🔺 After
- 「テストのとき、どんな気持ちだった?」と感情を聞くようになった。
- 「自信があったけど、難しい問題があって焦った」など、子どもが自分の気持ちを言葉にできるようになった。
- 点数が悪くても、「次はどんな勉強をしてみる?」と前向きに考えられるようになった。
- 結果、子どもが「自分で勉強方法を工夫する力」がつき、点数も自然と上がった!
📌 ケース2:「試合の勝ち負け」で子どもを評価していた親が、プロセスを大切にするようになった結果…
🔻 Before
- 「試合、勝った?負けた?」と、勝敗ばかりを気にしていた。
- 負けた日は「残念だったね…」と声をかけるが、子どもは不機嫌になり会話が続かない。
- 「また負けたらどうしよう…」と、子どもが試合を楽しめなくなっていた。
🔺 After
- 「試合で、一番うまくいったプレーは何だった?」と聞くようになった。
- 負けた試合でも、「今日はどんなことを意識してプレーした?」と聞くことで、子どもが自分の成長を感じられるようになった。
- 「勝った・負けた」ではなく、「次の試合ではどんなプレーをしてみたい?」と聞くことで、前向きに取り組めるようになった。
- 結果、試合を楽しめるようになり、メンタルの強い子に成長!
📌 ケース3:「なんでそんなことするの?」と感情を無視していた親が、子どもの感情に向き合った結果…
🔻 Before
- 子どもが泣いたり怒ったりすると、「そんなことで泣かないの!」「なんでそんなことするの?」と否定してしまう。
- 子どもは自分の感情をどう扱えばいいのか分からず、イライラしたり、親に反発することが増えた。
🔺 After
- 「今、どんな気持ち?」と子どもの感情を確認するようになった。
- 子どもが「悔しい」「悲しい」と言ったときは、「そうだよね、悔しいよね。でもどうしたら次はうまくいくかな?」と共感しながら次の行動につなげる。
- 結果、子どもが「自分の感情を言葉で表現できるようになり、気持ちを切り替える力」が身についた!
「ご機嫌トレーニング」がもたらした3つの変化
- 結果ではなく「プロセス」に意識が向き、子どもが挑戦を楽しめるようになった!
- 親子の会話が増え、子どもが自分の気持ちを素直に話せるようになった!
- 子ども自身が「自分で機嫌を整える力」を身につけ、成長スピードが加速した!
このように、「ご機嫌トレーニング」を家庭に取り入れるだけで、子どもの学びやスポーツの成長が加速し、親子関係も良くなるのです。
今日からできる「ご機嫌子育て」

これまでの内容を振り返ると、子どもの成長には「ご機嫌を保つ力(非認知能力)」が欠かせないことが分かりました。
そして、そのために親ができることは、「結果」ではなく「プロセス」と「感情」に目を向けることです。
✔ ご機嫌な子どもほど、学びやスポーツの成長が早い
✔ 「結果」ではなく「プロセス」を評価することで、挑戦を続ける子になる
✔ 子どもが感情を言葉にする習慣をつけると、メンタルが安定する
✔ 親自身が「ご機嫌でいること」が、子どもの成長に大きく影響する
そのために「何から始めればいいの?」と思う方は、まずは次の3つを実践してみましょう。
1️⃣ 「今日、どんな気持ちだった?」と聞く習慣をつける
→ できるだけ「結果」ではなく、「どんなことを感じたのか?」を聞いてみる。
(例:「試合、勝った?」ではなく「試合、どんなプレーができた?」)
2️⃣ 「感情リスト」を作って、子どもが気持ちを言葉にしやすい環境をつくる
→ 「楽しい」「嬉しい」「悔しい」「もやもやする」など、感情の言葉を増やすことで、子どもが自分の気持ちを表現しやすくなる。
3️⃣ 親自身が「ご機嫌」でいることを意識する
→ イライラしてしまったら、「まずは自分の機嫌を整えよう」と深呼吸したり、リフレッシュする時間をつくる。
これらの小さな変化が、子どもの成長スピードを大きく変えます。
最初は違和感があるかもしれませんが、続けることで「子どもが前向きに努力する姿勢」に変わっていくのを実感できるはずです。
では最後に、「非認知能力」を育てることが、子どもの未来にどのような影響を与えるのかをまとめます。
まとめ:「非認知能力」は子どもの未来を変える
子どもの成長にとって、点数や勝敗などの「結果」よりも、どんな気持ちで取り組んだかが大切です。
その中で、
✅ 自分の感情に気づくこと
✅ 気持ちを言葉にして表現すること
✅ 失敗しても前向きに挑戦し続けること
これらを身につけた子どもは、学び続ける力・困難を乗り越える力・人間関係を円滑にする力を持ち、どんな環境でも自分らしく成長し続けることができます。
AIが発展し、知識やスキルが簡単に手に入る時代になりました。
しかし、どんなに便利な時代になっても
📌 自分の気持ちを理解する力
📌 失敗を成長の糧にできる力
📌 ポジティブに行動を続ける力
これらの「非認知能力」は、AIにはできない“人間らしさ”であり、これからの時代を生き抜く上でますます重要になっていきます。
だからこそ、親が「結果」ではなく「プロセス」や「感情」に目を向け、子どもが「自分のご機嫌を自分で整えられる力」を育てていくことが、何よりも大切なのです。
「いきなり全部は難しそう…」と思うかもしれません。
でも、大丈夫です。まずは「今日、どんな気持ちだった?」と聞いてみることから始めましょう。
子どもが一瞬「え?」という顔をするかもしれません。
でも、少しずつ、少しずつ、子どもの中に変化が生まれていきます。
そして気づいたときには、「自分の感情を大切にできる子」「どんな状況でも挑戦できる子」に育っているはずです。
今日から、子どもと一緒に「ご機嫌を育てる習慣」を始めてみませんか?